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【1】
「たっ戦うんですか!?」
朝食を軽く済ませたその後、メルがどこかに行ったと思ったら、黒と白の双子とその付き人である老紳士、そしてローブを羽織り猫を従えた謎の歌い手を連れてきた。
「心配しなくても大丈夫だよ。練習試合だし、ちょっと力を競ってみようってだけ。勝っても負けてもお互いに影響は無し」
様々な冒険者と手を合わせ、戦術を磨き、戦力を向上させる目的で行われる練習試合。
そんな物があったとは、メルが相手を連れてくるまでルクラは全く知らなかった。
「ふむ。……なら、やってみるか」
「そうね。経験を積むのは良いことよ」
スィンとエクトはもう乗り気で、後はルクラの返答次第と言ったところ。
ルクラは――。
「――はいっ! やりましょう! よろしくお願いします!」
あっさりと承諾して、すぐさま戦いの準備を始めたのだった。
――怖いけど……でも!
彼らと探検をすると決めたとき、絶対に足手まといにならないと彼女は心に誓っている。
どんなに怖くても辛くても、絶対に諦めたり逃げ出したりはしない、という自分自身の約束を持っているのだ。
――みんなが居るから、大丈夫!
仲間と一緒にぶつかっていけば、どんな事だって恐れる必要はなく、乗り越えられる。
彼女はそう信じているのだ。
【2】
「お相手、ありがとうございましたっ!」
「いい試合でした」
「こちらも楽しかったですよ」
「次こそ勝ちたいわね……」
「もうちょっとだったんだけどなぁ……」
戦いが終わって、それから。
ルクラとメルは、練習相手になってくれた四人に頭を下げていた。
頭を下げられている四人は疲れた様子で地面に座り込んでいる。
ルクラとメルも頭を下げ終えると、彼らと同じように座り込んだ。
傍らには、寝かせられたスィンの姿に、それを見守るエクトの姿。
かと思えばスィンの眼が薄く開き、そしてゆっくりと起き上がった。
「おはよう、スィン」
「……姫? 戦いはどうなりました?」
「ちゃんと勝ったわ。……よくやったわね」
「おつかれさまー」
「スィンさん! なんとか勝てましたよっ!」
「……ふむ、そうか……」
微笑むルクラ達を見て、スィンも笑みを浮かべる。
初めての練習試合は白星と、出だしの良いルクラ達『おこさまたんけんたい』であった。
【3】
今日、ルクラにはもう一つ『初めて』があった。
「ご依頼ありがとうございます! きらきら風味なローブになりました」
「わぁ……綺麗!」
この島には様々な存在が訪れて冒険をしている。
身に着けている技術もまた様々。
そしてこの島に落ちているアイテムは、何かしら妙な力を宿しており、それを上手く使って様々な品を作り上げる技術があった。
リレイバーリオン、と名乗る女性から手渡されたのは、まるで星屑が散りばめられた様でキラキラと輝くローブ。
元はエクトに合成してもらった妙な物体を素材にしたものである。
まさかこんな綺麗なものができようとはルクラは夢にも思っておらず、ローブと同じくらい瞳を輝かせ、愛おしそうに出来立てのそれをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうございます!」
「またご縁があれば!」
会話もそこそこに二人は別れ、丁度そのとき出発の合図がメルから掛かり、ルクラの二日目の冒険が始まる。
【4】
二日目の道中は非常に順調だった。
襲い掛かってきたのは、ルクラが初めて島を冒険したときに出会った動く壁の化物に、赤い身体で翼を生やした小さな子供のような化物。
目的とした場所についても、ルクラ達の元気は有り余っている。
そうなると朝にやった事をもう一度やりたくなる、というのが自信を付けた子供らしい思考。
「じゃあ、誰か声を掛けてくるね」
と、メルが相手を探しに行って十分程度の経過の後、新しい練習相手はルクラ達の目の前にやってきた。
「えっ」
そしてルクラは眼を丸くする。
何故なら――。
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-Eno.850セサリカ=ゴトランド(終了)
-Eno.37シルヴェリア・ミューアレネンス
偽島
-Eno.455ルクラ=フィアーレ→リズレッタ・メリゴール(終了)
六命
-Eno.1506レミス&ミーティア