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六命雑感、あと日記の保管庫もかねています。
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○かんぜんにはいったのに……

反撃も成功、必殺技もウーンズをぶちあてたものの、負け。
槌さんを反撃に入れておくべきだったかな、と反省。
どこかのヴィクトールさんみたいな気分になりました(笑)

○14隊撃破

うまい具合にウィンドランスがレディボーンズに叩き込めました。やったね!
全CPを27獲得。これで暫くは訓練も無駄なく使えるでしょう。
お金もがっぽり、良いことずくめ。

○今回の必殺技

ウーンズ
「集うは力、放つは魔光! 強力無比なる一撃を受けよ! 魔術――!」

ウィンドランス
「わが言の葉に呼応し出でるは蒼穹の槍! 鋭き一陣の風、その身に受けよ! 風魔術――!」

どちらも700オーバーを記録。
ターン数重ねて打ち込んだだけの威力はありますね。

○次回のお相手(練習試合)

南瓜の涙亭と愉快な仲間達
 ENo.1379 リーチャ・ミレッタ様
 ENo.1553 ルーク・スタークヘルム様
 ENo.1646 ティア・クレイティア様

夢の対決が実現。
南瓜の涙亭の面々と大バトルを繰り広げます!
……多分。
遺跡外のタイミングが合致し、丁度良いのでと今回申し込み試合をすることとなりました。
手加減はしません、よろしくお願いします!

○さてさて

またもや新イベントボスがお目見えですが、いったいこれから何処へ向かえばいいのやら……。

○リズレッタがデビュー

謎はまだまだ残りますが、謎の少女改めリズレッタ=メリゴールがサブキャラとしてデビューしました。
少し旅が賑やかになります。
これからルクラとの関係はどうなるのか、お楽しみに。
彼女個人へのメッセも受け付けていますが、割と容赦なくばっさり斬られる事もあるので覚悟の上で突撃をお願いします。
ルクラと違って、性格キツイです。

sakuretta.jpg










デビューしたので新しい姿をお披露目です。レンタル宣言でのコスプレレンタル絵になります。
某同人STGの瀟洒な人がモデルになっているようです。
イラストは漣舜さん(1468)作。
本当にありがとうございます。あなたのアイコンが無ければここまでリズレッタを表現できませんでした。
そしてリズレッタを生み出すきっかけとなったティアさんにもお礼申し上げます。

○アイギールさんを語る

夢を渡り歩く夢魔さんであるアイギールさん。
シルクのパジャマ(ネグリジェ)でいつも冒険されているのは夢魔たる象徴かもしれません。
『神秘的』とも『淫靡』とも取れるアイギールさんは、知る人ぞ知る触手コミュニティの主さん。
……というかご本人が触手使いらしいです。ルクラどうなってしまうんでしょうか!
また初めてルクラの本当の姿を見た人でもあります。可愛いと言ってもらえて何よりです。
まぁ本当に可愛いのですけどね!(親馬鹿)
幼女が触手に云々は魅力的ではありますが、あんまり際どい事をしたら間違いなく仲良く削除ですからお手柔らかにお願いします(笑)
これからもメッセ交流、よろしくお願いしますね。

○ドット絵を描いていただきました

PC名は内緒、とのことなのでここでは明かさずお礼のみです!
補足屋さんのところに行けばすぐに見つけると思います。
本当にありがとうございました!
翼と尻尾、収めるの大変だったろうと思います……!

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【1】
「あっ! お姉さま!」

自分の姿を見つけるなり、本当に嬉しそうな表情でラズレッタは駆け寄り、擦り寄ってくる。
それが本当に可愛らしく愛しくて、少女はいつもラズレッタを優しく抱き締めてやっていた。

「もうお姉さまったら。最近よく一人でどこかへお出かけされていますのね?」
「ごめんなさいね。お詫びにはならないかもしれないけれど、今から一緒にどこかへ行きましょう? それで、許してくれるかしら?」

ぎゅっと痛いぐらいに抱きついてくるラズレッタ。
少女はそれを返答と受け取って、にこりと笑って答えた。

「それじゃあ今日は、何をしましょう? 何でも言いなさい。貴女の望む事を一緒にやってあげますわ。珍しい物が欲しい? その辺の生きている『おもちゃ』で遊びましょうか? 両方合わせてしまうのもいいかもしれませんわね。 『おもちゃ』達から貴女の好きなものを取り上げてしまいましょう?」

いつも自分達がやっていた事を、いつものように提案する。
すぐにラズレッタは、無邪気で残酷な笑みを浮かべて、それから”キヒヒ”と笑って一番最後の提案に乗るに違いなかった。

「――いいえ」

――少なくとも、今までの夢ではそうだった。

「え?」
「今日は、珍しい物も欲しくないし、『おもちゃ』遊びもしたくありませんわ」

思いも寄らぬ反応に、少女は戸惑う。

「それじゃあ、どうするというの?」
「今日は……」

ラズレッタは顔を俯かせ、頭を少女の胸に擦りつけ、言葉を詰まらせる。
今まで見たことも無いその姿に、少女の戸惑いは続いた。
だが、その声色は淀ませる事なく、優しく語りかけてやる。

「どうしたの? お姉ちゃんに言って見なさい?」
「……今日は、お姉さまにお伝えしたい事がありますの」
「わたくしに……?」

顔をあげたラズレッタ。
その表情を見て、少女の表情は驚愕に染まった。

「もっともっと一杯一杯、お姉さまと一緒に。ずっとずっとずっと色んな豚たちを躾けてやりたかったけど。……お姉さま、どうか、長く、良い御余生をお過ごし下さいませ」

ラズレッタは、涙で顔をぐしゃぐしゃにしていた。

「それは……一体、どういうこと? 答えなさいラズレッタ」
「きっとこれはわたくしの願いですの。この一言だけを、お姉さまに伝えたかったのですわ」
「意味がわかりませんわ。ラズレッタ、貴女今日は可笑しくてよ? いつものように、一緒に遊びましょう? そんな――」
「だってだって……! わたくし、もうお姉さまとは一緒にいられませんの……。お姉さまとは帰るところが違いますのよ」
「何を……!?」

少女ははたと気づいた。
ラズレッタの身体が段々と薄れていっている事に。
その存在が急激に、自身の目の前から、夢の中から、永遠に消え去ろうとしていたのだ。

「お姉さま、今までありがとうございました。お姉さまを置いて逝くわたくしをお許し下さい」
「嫌……待ちなさい」
「ごめんなさい。もう、時間ですの。……さようなら、お姉さま。ラズレッタはお姉さまを……世界中で誰よりも深く深く、お慕い、もうして――」
「だめ……! 待ちなさいラズレッタ!」

涙を流しながら、無理矢理に笑みを作っていたラズレッタだが、最後の最後で悲しみに耐え切れなかったのだろう。
両の手で自分の顔を覆いつくしてしまう。
少女がもう一度、ラズレッタを抱きしめようとしたがそれはもう叶わぬことで。

「……ラズレッタ……」

一人取り残された少女の意識も、直ぐに深淵の中へと沈んだ。

【2】
夢から覚めた後、少女とルクラが交わした一騒動は省略する。
”何でもする”というルクラの言葉に、少女は不気味な笑みを浮かべていた。

「じゃあ、貴女。わたくしの妹になりなさい」
「はいっ! ……はいっ!?」
「何?」
「い、妹になる、ですか?」
「えぇ、そうですわ。問題でも? なんでもしてくれるというお話でしたわね?」
「そ、そうですっ! わかりました、なりますっ!」
「そう、それで良いのですわ。……では、そうなるからには四つ、注文をしますわね? 今の貴女は、わたくしの妹になんて全く相応しくない、その辺の塵と変わらない存在なのだから。見合うように変わって頂きますの」
「は、はいっ! なんでもどうぞ!」

始めは戸惑い、慌てていたらしいルクラだが、また直ぐに笑みを取り戻している。

――ふん。気に食わない。この笑みも失くしてしまいましょう。

その笑みは少女にとって大変不愉快な物だった。
密かにそんな事を思い、少女はまた不気味な笑みを浮かべる。
少女がルクラに命じた事。
それは、”自分の妹になれ”という無茶苦茶なものだった。

【3】
それから三日後。
すっかりルクラは、少女のお望みどおりの妹となっていた。
浮かべる笑みは明るく子供っぽいそれではなく、控えめで気品を感じさせる物。

「おねえさま? 今日はどうしますの?」

そしてルクラの口から飛び出す言葉は、いつものルクラの言葉ではなかった。
まるで少女が用いるような、上品な口調。
一日掛けて少女がルクラに文字通り叩き込んだ成果は、確かにそこに存在した。
何でもするというのなら、自分好みの妹に仕立て上げてしまおう。
このどうしようもない喪失感を、この馬鹿な少女を使って少しでも埋めよう。
”教育”などという生易しいものではない、”調教”によって、少女は目の前の少女を自分の思うが侭に変えたのだ。
一つ、言葉遣いや振る舞いを直すこと。
一つ、自分の事を”お姉さま”と呼ぶこと。
一つ、名を”ラズレッタ”と改める事。
一つ、ある笑い方を、覚える事。
少女がルクラに求めた注文、それは”ルクラ=フィアーレ”という存在を完全に無視した物だった。

「……何もありませんわ。適当に、散歩をしますの」
「はい、わかりましたわ」

面倒臭げに返しても、ルクラはにっこり笑って、そして気品を保った言葉を返し、少女の手を引いて薄く雪化粧が施された草原を行く。
願いを聞き入れた日からずっと行われる、夜中の当てのない散歩だった。

「おねえさま、見てください? 雪が降ってるというのに、月が顔を覗かせていますわ」
「あぁ……とても綺麗ね」
「えぇ! ……キヒヒ♪」

夢の中に現れたラズレッタの特徴であるとも言える独特な笑い声。
少女が注文したとおり、ルクラはちゃんとその笑い方を覚え、使いこなしていた。

――違う。

しかし、それは少女の思ったものとは違っていた。
声が違う。響きが違う。笑い声の中に含まれる嘲りは存在しない。
もっと本当の妹の笑い声は、この世の全てを馬鹿にしたような笑い声だったのだ。

――こんな、こんな笑みじゃない。

その笑みには、純粋さと、底抜けの明るさと、この世の全てを愛するような慈愛に満ちていた。
邪悪さと、底無しの暗さと、この世の全てを見下すような笑みではなかったのだ。

――何もかもが……。

自分の思うように変えていく度に、少女の苛立ちは募るばかりだった。
似ているようで、違う。
喪失感は埋まるどころか、ますます広がっていく。

――違う。違う。ちがうチガウ……。

自分の思うように変えていく度に、少女は思い知っていたのだ。
妹は、本当のラズレッタは二度と自分の目の前に、夢の中にさえもう現れないのだと。
少女はその場に立ち止まり、俯いた。
突然の抵抗感にルクラは首をかしげ、そして少女の顔を覗きこむ。

「おねえさま?」
「……違う」
「え――?」

とん、と少女はルクラを軽く突き飛ばした。
抗う事はせず、その場にしりもちをつくルクラ。
少女はさらに、ルクラの上に馬乗りになり、大きく手を振り上げた。
その手には、蒼白く輝く氷のナイフが一振り、収まっている。

「違う。何もかもが……違うのよッ!!!」
「っ――!!!」

絶叫と共に、少女はナイフを躊躇なく振り下ろした。
鈍い音が僅かに響く。

「……お……ね……さま……?」

視線を横に移せば、顔と1センチも離れていない位置に突き立った氷のナイフが見えるだろう。
草原の上に倒れこんだルクラは、眼を見開きじっと少女を見つめている。

「何を怯えているの」
「ひっ……!?」

少女はナイフを抜き取り、ルクラの首筋にあてがった。
少し肌に沈ませると、途端に切り裂かれ、真っ赤な血が滾々と湧き出し、刃を伝って流れ出す。

「や、やめ……て」
「何を言うの? ラズレッタ、貴女はこれがとても大好きだったじゃないの。首筋を切り裂いて、噴水のように血が噴出すのを一緒によく眺めたのを忘れたの? お互いが真っ赤に染まって、それから二人で仲良く、血を全部舐めとるの。身体の隅々まで」
「そ、そんなこと……したら、死――」
「笑いなさい。喜びに打ち震えなさい。早く、早く斬ってとわたくしに乞いなさい。さぁ」
「……っ……!!!」

ルクラはがちがちと歯を鳴らし震え、目尻に涙を溜めている。
少女はその光景を見て、哂った。

「嫌だというの? 出来ないというの? わたくしの妹はそんな子ではないわ。そうでしょうラズレッタ?」
「うっ……ぅっ……!!!」
「ふん……やはりお前は妹ではありませんわ。何の価値も無い下衆だ。さぁ、泣き喚きなさい。最上位たるわたくしに無様な命乞いをして見せろ。そして自らの行いを恥じて呪え」

――そしてその時が、お前の最後。姉妹ごっこは、お終いですわ。

少女はにたりと笑い、その時を待つ。
せめてもの自分への慰めに、自分の下に居る少女を最高の形で、絶望の底に叩き落し命を刈り取ろうと待ち構える。

「……は――」

ルクラの口が、動いた。

「は……やく……き……って……。おねえ……さま……!」

にっこりと、泣き笑いの表情を見せ、たどたどしく、しかしはっきりとルクラはそう答えた。

「ッ……!!!」

氷のナイフが、静かに崩れて消えていく。
少女の表情が怒りに歪む。

「ち……がう……! 違うッ!!!」

代わりに少女は、ルクラの頬を思い切り平手で叩き、それから胸倉を掴んで叫んだ。

「お前など……ラズレッタなんかじゃありませんわっ!!! わたくしの……わたくしの愛しくて可愛いラズレッタは、お前なんかよりずっと……! ずっと……!!!」
「おねえ、さま……?」
「五月蝿いっ! うるさいうるさいうるさいっ!!! そう呼んでいいのはわたくしの妹だけだっ!!! わたくしのっ……ラズ、レッタ……だけっ……!!!」

わめき散らしながら、少女は涙を流していた。
 

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○日記がいい! 部門にて1票頂きました。

「量・質兼ね備えた生産力には、素直に脱帽」
とのことです。
本当にありがとうございます。

日記は完全に自分が読むために始めていたりもするので、他の人が見たらどう映るんだろう、と少し気になっていました。
それなりに、多分きっと、読める物になってるのかな?

継続は力なりとも申しますし、今後も一周一回の日記、手を抜かずに全力で書いていきます。
投票された誰か様、本当にありがとうございました!

※実は前回の雑感に入れようと思ったのだけど見事に忘れてました……ごめんなさい。
 深夜テンションでブログ書き上げると大体穴が出来る今日この頃です。

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○練習試合は勝利

が、反撃が全然決まらなかった上に設定ミスってウィンドランス祭りしていたので赤点ギリギリ。
もっと、頑張ろう!
見知らぬ世界はきっと美しい。の皆様、ありがとうございました!

○通常戦は問題なく

口の悪いあんにゃろとはこちらの圧勝で終了!
でも必殺技まで伸ばせなかったのでこちらも60点といったところです。
PT全体が成長したんだなぁと実感もしました。

○今回の必殺技

出せませんでした!

○いよいよベルクレア14隊

最早負ける要素は無い気がしますが、気を引き締めてまいります。
頑張ろうっ!

○レオノール=ライトニングリッジさんを語る

大きな黒い翼が特徴的なレオノールさん。
黒い翼を持つがゆえに変に警戒されて色々厄介ごとを望まずして抱えてしまっているようですが、島に居る間はそんな悩み事からも開放されている、のかな?
『凛々しい』という言葉が似合う人だと思います。言動もその言葉通り。
ルクラからすれば『かっこいいお姉さん』というポジションでしょうか。
妖精の宿の方で何度か会話を楽しんだ事もあり(確か一番最初に会話したのはレオノールさんだった、ような?)凄くルクラは懐いています。
慌てんぼうで心配性な子ですが、これからもどうぞよろしくお願いします!

○十一日目の日記のお詫び

修正を入れたのをすっかり忘れて、本編で表示され居たものとは違うものを掲載していました。
現在は既に修正しましたので、ごゆっくりお楽しみ下さい。
申し訳ありませんでした!

○謎の少女

やはりルクラに容赦のない謎の少女ですが、次回でいよいよ決着です。
少女は何を思いついたのか、不敵な笑みの意味は。
ルクラは一体どうなってしまうのか?
お楽しみに。

○新しいプロフ絵とアイコンが!

リーチャ・ミレッタさんがブログでキャラ語りをしてくれた御礼で! とのことで頂いてしまいました……!
本当にありがとうございます!
すごく、ほんとうにすごくかわいらしいルクラが居ました。
20100111lucula.pnglulululu.pngrururu.pnglululu2.png










大切にします!

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【1】
不遜な態度を取り続け、ついには出て行こうとした少女を、ルクラは咄嗟に止めようとした。
少女の身体を抱きとめて、ベッドに戻そうとしたのだ。
きっと相手はそれに腹を立てて、先ほどより数倍酷い口を利かれるかもしれなかった。
しかし少女の身の事を思えば、そんな事を恐れて行動に出ないルクラではない。

「だっ……だめですっ! 安静にしてなきゃ――!」
「五月蝿いですわねっ!!!」

案の定少女はルクラを振りほどこうと暴れ始める。

「そこをどきなさっ――!?」

しかし。

「あ……ぅ……!!!」

一瞬身体に力を込めただけで、少女はがくりと膝を落としてその場に倒れこんでしまった。
なんとか両の手を床について、辛うじて自分の体を支えているその様子に、ルクラが慌てないはずがない。

「だっ……大丈夫ですかっ!? やっぱりまだ安静にしてなきゃ駄目ですよ!」
「うるさい、ですわ……!」
「さぁ、ベッドに戻りましょう?」
「触れるんじゃ……ありませんの……! 下賎の者がわたくしに、触れるんじゃ……!!!」

なおも少女は暴れようともがく。
否、もがこうとした。
それは力なく身体が揺れるだけで、ルクラでも簡単に止められる。
呆気なくルクラの手で少女はベッドに戻されてしまい、腹いせにルクラを睨みつけるも、同じようにベッドを飛び出す力は無いようだった。
そんな少女の様子に、ルクラは微笑む。

「ここは安全ですから。元気になるまで、ここでゆっくり休んでもいいんですよ。怖がらなくても大丈夫なんです。……何が来たって、あなたを守ります」

ルクラは、少女が自分を恐れているのだと思った。
眼が覚めたら見知らぬ場所に居たのだから、警戒をするのも無理はない。

「……だから、ね?」

少しでも安心させよう、そう思ってルクラは少女の手を取る。

「――っ!?」

しかしその手は、あっという間に振り払われた。
拒絶するように乱暴なそれを予想していなかったルクラの手は、サイドテーブルの角に思い切りぶつかる事となる。
鈍い音がして、ルクラは痛みに顔を歪めた。

「……ふん」

ベッドの上にのろのろと、再び起き上がった少女はルクラを鼻で笑う。
嘲りの視線で、痛みに顔を歪めたままのルクラを見やる。

「全てが見ていて不愉快なんですの。声も、言葉も、動作の一つ一つが嫌。今すぐわたくしの目の前から消えなさい」

冷たい、拒絶の感情しかないその声に、ルクラは表情を暗ませる。
 
「……嫌いでも、いいです。でも、お願いします。心配……なんです。居させてください……」
「何度、言わせる気かしら。……消えろ、と言っているのがわかりませんの?」
「お願いします……。まだ体調も優れないみたいだから、何かあったらって思うと――」
「黙りなさい、下衆が」
「………………」

身も心も凍りつくような声が部屋に響く。

「わたくしは、お前のような存在が一番嫌い」
「……っ……!」
「良い子ぶって、ただそうして恩を振りまくだけの存在が大嫌いなんですの」

少女の反応全てが、ルクラの予想外だった。
そして思い知る。
彼女は自分を恐れているのではない。
心の底から自分を軽蔑しているのだ。
しかしそれが判った所で、ルクラは納得できるはずもなかった。

「……ど、して……そんなこと……」

震える声で、なんとか声を搾り出して問う。

「わたしなにか……悪いこと、したの……? なんで……!」
「えぇ、悪いですわね。わたくしに何度も不愉快な気分を味あわせ、わたくしの視界をいちいち遮るほどの目障りな存在ですわよ、お前。……納得した?」

にっこりと笑みを浮かべ、心をずたずたに引き裂かんと、ルクラの全てを否定する言葉を紡ぐ少女に、ルクラはもう限界だった。
身体を震わせ、目の前の少女への恐怖と、罵倒の悲しみに涙を零し始めたのだ。
少女はその光景をまるで塵でも見るような目つきで見下しつつ、言葉を続ける。

「出来る事ならその顔を滅茶苦茶に切り裂いて、その身体をバラバラにして犬にでも食わせたい所ですわ」

手を伸ばし、乱暴に突き飛ばす。
いとも簡単に床に倒れこんだルクラを睨みつける。

「――消えなさい、下衆が」
「う……。……うぅ……うぇぇ……!」

ルクラが泣き声をあげて、それから部屋を出て行くまでの姿を少女は眼にしない。
最早彼女の存在など、少女には無いも同然だったのだ。
ベッドに不満げに寝転がり、自分に背を向けたままの少女を見て、ルクラは嗚咽を漏らしながら、部屋を後にした。

【2】
『Fairy's INN』と呼ばれる宿がある。
外部は完全に隔てられており、偶然迷い込むか、妖精達に誘い込まれない限りは入ることが出来ぬ場所。
ルクラはたまたまこの島に来て早い時期に妖精達に誘われ、何時でも来る事ができるようになっていた。
ここに来る理由は人によって様々だが、ルクラは眠れない夜、ここに来る事にしている。
無性に寂しくなった時、ここで様々な人と語り合い、紛らわすのだ。
今日も彼女は、ここへ来ていた。
そして今日も、いくらかの喧騒を楽しんだ。
少女に酷い事を言われた悲しさを紛らわすために。

「ルクラも随分と落ち着いているな、私のときとは大違いだ」

この宿で出会い親しくなった一人、レオノールのその時の言葉だ。
その言葉を聞いたとき、ルクラは悪い事をしていたのがばれたような、そんな驚きが生まれた。
ちょっと誰かと話をして悲しみが紛れたらそれで良い。
その内心を見透かされてしまったように思えたのだ。

「実は……――」

ルクラは話すことにした。
胸の内にたまったもやもやを、吐き出すように。
少女の事を全て――無論、自分になされた仕打ちは全てひた隠しにした上でだが――レオノールや、その場に同席して居た何人かに話したのだ。

「見捨てちゃえば、いいんじゃないかしら」

全てをじっと黙って聞いてくれていた内の中の一人、ティアはそう答えた。
いつもの彼女らしくない言葉だとルクラは思った。
もっと歩み寄るような、そんな言葉を掛けてくれるものと密かに期待して居たのを裏切られた事に、一瞬息を詰まらせた。
だが、それと同時に自分の今の本当の気持ちが湧き上がった。

「……そんなこと、できません。わたしには、絶対に出来ない」

たとえどんなに自分に酷い仕打ちをするような相手であっても、あの少女はどう見ても、守られるべき立場にいるようにルクラは思っていた。
勿論永劫その立場に居る物だとは思わない。
だがその立場を脱するまでは、自分が守らねばという確固たる信念があったのだ。
その信念が、あの少女の言う『恩を振りまくだけ』の行動なのかもしれない、とルクラは初めて思った。

――それでも、あの子が元気になってくれるならそれで良い。

だが、その思いは信念を打ち砕くまでの力は持っていなかった。
どれだけ自分が嫌われようと、蔑まれようとも、犠牲になろうとも、”助けたい”という純粋な気持ちは不動だったのだ。

「なら、ホレ。やる事決まってんじゃないのさ」

ティアは最初からルクラの気持ちがわかっていたのかもしれない。
わざとそっけなく突き放して、自分自信の思いを改めて見つめなおさせ、そして確固たる物にする機会を与えたのかもしれなかった。
少なくともルクラにはそう思えた。
だが、まだ困った事が一つある。

「勿論、やることは決めてます。でも――」

そのために自分はその少女に、一体何をしてやれば良いのか。
それが全く判らなかった。

「心配しすぎ、なんでしょうか。時間が経てば、あの子も話してくれるのかな」

時間は大抵の事を解決してくれる物。
時間が経てば、あの少女も少しは心を開いてくれるようになるのだろうか?
そんな疑問を口にすると、ティアはすぐさまこう答えた。

「時間だけじゃ、無理無理無理。当たり前の事を考えれば、見捨てるのが正解なのよ。でもそれが嫌なら、笑顔で要るべき立場でいなきゃいけない人間がさー。そーんな顔じゃ駄目駄目。笑顔のまんまお節介し続ければいいじゃない。それを出来る自信がないなら、見捨てるべきだと私は思うわよん」
「笑顔のまんま……お節介」

眼から鱗の思いだった。

――そうだ。わたしがあの子を守らなきゃいけないのに、笑ってなかったら……、あの子不安なままだ。

「事情を知らなくてもできることはある、そこの手を尽くすことからじゃないのか?」

続くレオノールの言葉にも、同じ思いを抱く。

――事情なんてわからなくたって、あの子にやれることは一杯あった。……わたし、そんなこと考えもしなかった。ただただ、うろたえるばっかりだった。

もやもやが、一気に晴れた。
それと同時にルクラの中には、硬い覚悟が形成された。

――そうだ。簡単な事じゃない。ずっと笑顔で、何を言われたって笑顔で、あの子のために頑張るんだ。何を悩んでたんだろう、わたし。すごく、すごく簡単じゃない。

島で学ぶ事は多い。
だが、この宿で学ぶ事はもっと多かった。
どうしても気分が浮かずに、なんと無しに頼んでしまったブラックコーヒーを一気に飲み干し、その苦さに顔を顰めてから、ルクラはそれ以降明るい笑みを絶やすことはなかった。

【3】
宿から戻り、部屋を飛び出し、再び少女の眠る部屋へ訪れる。
少女は、眠っていた。

「……う……ぅ……」

しかし何かに苦しみ、うなされていた。

「……れ……った……。……ら……ず……」

誰かの名を呼び、両の目尻からは涙を零し、泣いている。

「………………」

だからルクラはそっと微笑んで、少女の手を優しく握り締めた。

「あ……ぁ……。らず……れ……った……」

心なしか少女の表情が和らいだ気がした。
手を握り締め、自分の頬に押し付けて、ルクラは呟く。

「……大丈夫。大丈夫だよ……。大丈夫……」

瞳を閉じて何度も、何度も。
少女に言い聞かせるように呟く。
何時しかルクラは、そのまま眠りに落ちてしまった。

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六命
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